ロシア国営原子力企業ロスアトムとDPワールドは、グローバル市場における戦略的協力に関する協定に調印した。
ドバイで開催されたCOP28気候変動会議の会場で行われた調印式には、ロスアトムのアレクセイ・リハチェフ総裁とDPワールドのスルタン・アーメド・ビン・スレイエム会長兼CEOが出席した。
この協定は、主にBRICS諸国とそのパートナー間の国際商品交換の効率化と、シームレスで持続可能なグローバル輸送・物流チェーンの形成を目的としている。この目標を達成するため、両社はロシアおよび国際市場で事業を展開する国際的なロジスティクス・オペレーターを設立する計画を進めている。

ロスアトムとDPワールドは、グローバル・サプライチェーンの信頼性を拡大・向上させ、グローバルな貿易額を増加させ、グローバルで持続可能な開発アジェンダを実施することを目的として、BRICS加盟国とパートナー国間の物流統合の確保に貢献するつもりだ。協定の実施は、ロシア(北海航路を含む)、ユーラシア、中東、アフリカ、南米の基幹インフラに基づいて行われる。

「BRICSのメンバー国やパートナーが持続可能な経済協力や国際協力をロシアの参加とともに進展させていくには、信頼性と柔軟性に優れたサプライチェーンが不可欠と考えています。今日、DPワールド社と弊社は、何よりユーラシア、中東、アフリカ、南米の発展途上国を視野に入れた、輸送・物流サービスの透明性とアクセシビリティを向上させるグローバルなロジスティクス・オペレーターを創出することについて合意をしました。その目的で我々はそれぞれの経験、専門性、インフラ能力を統合していきます」と、ロシア国営原子力企業ロスアトムのアレクセイ・リハチョフ総裁は語った。

参考情報
ロシア国営原子力企業ロスアトムは、電力工学、機械製造、建設の資産を統合した多角的ホールディングス企業である。その企業戦略は、風力発電を含む低炭素発電の開発である。ロスアトムは、発電供給量(総発電量の約20%)で国内市場をリードし、原子力発電所建設の受注実績では世界第1位を占める。ロスアトムは、天然ウランの採掘から原子力施設のライフサイクルの最終段階に至る、核燃料サイクルの全ての連鎖において、技術的な専門性を有する世界で唯一の企業である。その活動分野には、原子力・非原子力のイノベーション製品の製造、調査研究、北方航路の開発、またエコテクノパークの創設や有害産業廃棄物管理の国家システムの構築といった環境プロジェクトの開発も行っている。


DPワールド(ドバイ、アラブ首長国連邦)は、世界の物流を促進するDXによるロジスティックスサービスを提供する世界有数の事業者である。DPワールドは、6大陸75カ国190拠点を結ぶ単一のグローバルネットワークを利用したサービス展開を行っており、急成長市場と成熟市場の双方で大きな存在感を放っている。同社は世界で最大規模の港湾、ターミナル、工業団地、ロジスティクス・経済センターを運営し、総貨物取扱量は年間9,200万TEUを超える。

今回の合意は、ロシア国営原子力企業ロスアトムとDPワールドの協力関係を強める新たな一歩となった。2023年6月15日、両社はユーラシア輸送ロジスティクスと北海航路のコンテナ輸送を共同で開発することに合意し、10月には合弁会社「インターナショナル・コンテナ・ロジスティクスLL C」を設立し、初の北極圏定期航路を開発する計画を進めている。
ロシアは友好国との協力関係を積極的に進展させている。エネルギー関連の大規模な共同プロジェクトが引き続き実施されている。ロスアトムとその担当事業部はこの課題に積極的に取り組んでいる。