ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は310日、トルコで建設工事を請け負っている同国初のアックユ原子力発電所で、3号機(120kWのロシア型PWRVVER)の原子炉建屋の基礎部分に最初のコンクリートを打設したと発表した。

120kWVVER4基建設するという同発電所の建設サイトでは、12号機の本格的な建設工事がそれぞれ20184月と20204月に開始された。

今回、起工式に参加したロスアトム社のA.リハチョフ総裁は、「初号機の着工からたった3年で3号機の建設工事が全面的に始まった」と指摘。

「建設プロジェクトは異例の早さで進展しており、完成すればトルコのエネルギー供給保証を支える重要基盤のつになるだろう」と強調した。

起工式にはトルコのR.T.エルドアン大統領とロシアのV.プーチン大統領もテレビ会議で出席、最初のコンクリート打設の実施を受けて3号機の本格着工を宣言した。

同じ席でエルドアン大統領は「エネルギーへの投資は未来への投資だ」と述べており、原子力発電の導入はトルコのエネルギー構成を多様化するために進めていると説明。

これと同様に、エネルギーの効率化と再生可能エネルギーの開発も重要視していると述べた。

供給を保証する戦略的手段だと指摘した。

原子力発電は温室効果ガスを出さないだけでなく、環境への悪影響もないとした上で、トルコが建国100周年を迎える2023年にアックユ1号機の運転開始を予定しているほか、残りの3基も順次完成させていくと表明。

4号機については20205月に建設許可を原子力規制庁(NDK)に提出しており、来年にも本格着工を予定していると述べた。

これら4基により、トルコは国内電力需要の約10%を賄う方針である。

ロスアトム社の発表によると、3号機の建設許可はすでに昨年11月にNDKが発給済みであった。

16区画に分割した基礎スラブの1区画に付き1,100立法メートルのコンクリートを打設するため、使用するコンクリートの総量は17,000立法メートル以上にのぼるとしている。

なお、ロスアトム社はこのほか、同社のトルコ子会社であるアックユ原子力発電会社(ANPP)が同日、アックユ原子力発電所の建設資金として、ロシアのソブコム銀行から7年間に渡る2つの契約で合計3億ドルの融資を受けることになったと発表した。

アックユ原子力発電所建設計画では、世界の原子力分野で初めて「建設・所有・運転(BOO)」によるプロジェクト運営方式を採用しており、約200億ドルといわれる総工費はロシア側がすべて負担。

発電所の完成後、トルコ電力卸売会社(TETAS)が発電電力を15年間にわたり購入して返済する予定である。

融資条件の詳細は公開されていないが、ロスアトム社によれば、今回のソブコム銀行の「サステナビリティ・リンク融資(SLL)」では、アックユ原子力発電所が「持続可能な開発」という条件を履行した場合、金利の引き下げが適用される。

(参照資料:ロスアトム社の発表資料①、②、トルコ大統領府の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA310日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)