ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社の6月5日付け発表によると、中国・遼寧省の徐大堡原子力発電所II基工事(3、4号機)として、第3世代+(プラス)の120万kW級ロシア型PWR(VVER)を2基建設するため、中ロ両国は同日、一括請負契約に調印した。
 これは2018年6月に、同社と中国核工業集団公司(CNNC)が締結した中国における原子力発電所新増設計画の枠組契約に基づくもの。中国核能行業協会(CNEA)の発表では、徐大堡3、4号機はそれぞれ2021年10月と2022年8月に着工した後、2027年と2028年の完成を目指す計画で、契約総額は17億200万ドルとなっている。

 今回の契約は、中国の習近平国家主席がロシアを公式訪問したのに合わせて、その他の多数の協力協定とともにモスクワで結ばれた。契約書への調印は習主席とロシアのV.プーチン大統領の立ち会いの下、中国核工業集団公司(CNNC)とロスアトム社のエンジニアリング部門であるアトムストロイエクスポルト(ASE)社の代表が行っている(=写真)。
 昨年6月の枠組契約では、中ロ両国の原子力部門が今後数十年間に開発協力を実施する主要な分野を特定。徐大堡II期工事の2基に加えて、ロシア製原子炉がすでに稼働中の江蘇省・田湾原子力発電所についても、IV期工事の7、8号機として、第3世代+(プラス)の120万kW級VVERを建設すると明記した。これに基づき、CNNCとASE社は今年3月、田湾7、8号機増設計画で総額17億200万ドル相当の一括請負契約を締結。それぞれ2026年と2027年に起動させるとしている。

 今回の契約調印式に臨んだロスアトム社のA.リハチョフ総裁は、「ロシア製原子炉を採用した中国の新規立地点における建設プロジェクトは、本日をもって本格的な実施段階に移行する」と説明。田湾IV期工事に徐大堡II期工事を加えた合計4基の最新鋭VVERは、すべて2028年までに建設しなければならないと明言した。

 なお、徐大堡発電所の建設サイトでは、CNNCが遼寧省政府と協力取り決めを締結した2006年当時、100万kW級PWRを6基建設するとされており、2011年1月に国家発展改革委員会はI期工事の1、2号機について事前作業の実施を許可した。しかし、同年3月の福島第一原子力発電所事故を受けて、中国政府はこの計画を一時凍結。2014年4月に国家核安全局が同計画についてサイト承認を発給した後、2016年10月にこれら2基分の土木契約が結ばれた時点では、採用設計は100万kW級のウェスチングハウス(WH)社製AP1000とされている。

 (参照資料:ロスアトム社CNEA(中国語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの6月6日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)