ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は19日、モスクワの南約500kmのノボボロネジ原子力発電所で建設中のII期工事号機(PWR120kW)で、燃料の装荷を開始したと発表した(=写真

 ロシアでは昨年、新たに2基が営業運転を開始する一方、1基が永久閉鎖されたため、ノボボロネジII-2号機が営業運転を開始した場合、同国の商業炉は合計33基になる予定。同炉はまた、第3世代+(プラス)の120万kW級ロシア型PWR(VVER)設計「AES-2006」を採用しており、同発電所で2017年2月に営業運転を開始したII期工事1号機、および昨年10月にレニングラード発電所で営業運転を開始したII期工事1号機に次いで、国内で3基目になるとしている。

 同発電所II期工事の建設工事は、2008年6月(1号機)と2009年7月(2号機)に本格的に始まった。1~3号機までがすでに永久閉鎖されたI期工事(5基、合計約240万kW)を最終的にリプレースする計画だが、1972年に送電開始した同4号機については2018年12月、十分な電力量を確保するため、公式運転期間の30年に加えて2回目の運転期間延長(各15年間)が認められ、2032年まで合計60年間、運転を継続することになっている。

 発表によると、II-2号機用の燃料集合体、全163体のうち、一部の燃料装荷が同日中に完了。残りについては、5日以内に作業を終えるとした。今後は、臨界条件の達成と送電開始の準備を始める計画で、出力上昇試験を経た後の営業運転は今年末までの開始を予定している。

発表ではまた、「AES-2006」は安全性、経済性ともに前世代のVVERより向上しており、出力が7%増強される一方、必要なスタッフの人数は30%~40%低下したと指摘。公式運転期間は運転開始当初から2倍の60年間に設定されており、最終的に80年間まで延長される可能性もあるとした。

 ロスアトム社はこれまでに、12か国で36基の原子力発電所建設計画を請け負ったが、このうちフィンランド、ハンガリー、バングラデシュ、ベラルーシ等では「AES-2006」設計が選択されたとしている。

(参照資料:ロスアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)