プーチン大統領は1月17日、セルビアの首都ベオグラードを公式訪問し、アレクサンダル・ブチッチ大統領と会談した。エネルギーをはじめさまざまな分野での公式文書が交わされ、両国間の連携を強化する方針が打ち出された。

会談後の共同記者会見で、プーチン大統領は今後の協力・提携の一例として、セルビアのガス地下貯蔵施設の拡張計画、石油採掘大手ガスプロムネフチのセルビア子会社への大型追加投資、重電大手シロビエ・マシーヌィによるジェルダプ水力発電所の発電設備更新など、エネルギー分野の事業を挙げたほか、ロシア鉄道が協力する鉄道インフラ更新、原子力の平和利用、軍事技術などにも言及した。

両国で交わした合意、共同宣言や覚書は計25文書に上り、上記のほかデジタル経済発展分野や、ロシア版シリコンバレー「スコルコボ」によるイノベーション・技術発展協力、ガスプロム関連会社が関わる液化天然ガス(LNG)生産・販売のインフラ開発の共同事業、照明エンジニアリング会社「ボース・ライティング・グループ」とベオグラード市をはじめ各都市との提携など、多岐にわたった。ブチッチ大統領によると、今回の署名文書による協力の総額は2億ユーロで、今後6億ユーロに達する可能性も示唆している(ノーボスチ通信1月17日)。

また、ロシア産ガスのトルコ向けパイプライン「トルコ・ストリーム」のセルビアまでの延伸について、プーチン大統領は前向きな姿勢を示し、セルビアに接続するための輸送インフラなどの建設費用約4億ドルを投じる用意があると発言(2018年1月12日記事参照)。ただ、延伸の実現可能性はEUの対応次第とも述べている。

ロシアは、コソボの法的地位をめぐる問題でセルビアの立場を支持しており、同国内には親ロシア派が多いとされる。エネルギー分野、特にガス調達に関してセルビアはほぼ完全にロシアに依存しており、経済面でのつながりも強い。