8月26日付のThe New York Times紙は、ロシアが開発を進めている水上原子力発電所について報じた。
 同紙によると、ロシア北西部のコラ湾沿いの基地にて、ロシアは浮体原子力発電所の実験を行っている。ムルマンスク州の埠頭につながれた水上原発「アカデミック・ロモノソフ」は、以前、潜水艦で用いられていた2機の小型原子炉からできており、水上原発としては、現時点で唯一のものとなっているという。フロート上に設置された小型の原子炉は、迅速かつ幅広い場所への設置が可能であり、電力供給にムラがある風力や太陽光と比べ優位性があると同紙は伝えている。
 同紙はまた、この原発は温室効果ガスを出さないことから気候変動に有益であり、支持者からは原子力工学上、最先端の偉業と評される一方で、安全性に懐疑的であることから、無謀であるとの批判の声も上がっていると指摘。
 同原発の開発を進めているロシアの国営原子力企業であるロスアトム(Rosatom)社は、長年にわたり原子力技術を輸出し、中国やインド、その他多くの発展途上国への原子力プラントの販売を行っており、同原発についてはスーダンが最初の取引相手になる予定だという。
 なお、中国は2年以内に建造を計画していることも同紙は伝えている。
 2011年の東日本大震災の福島原発の津波被害から注目を集め、津波でも波に乗って破損しないことが期待されるが、専門家はそれに懐疑的だという。