ポドルスクにあるロスアトムの機械製造部門は、22220チュコトカ万能型原子力砕氷船プロジェクトのための2番目の原子炉容器RITM-200の製造を完了した。これは同工場で製造された10基目の原子炉で、新世代の原子力砕氷船のための発電所となる。原子炉は輸送準備が完了した後に、バルチック造船所に送られる。
このような形でロスアトム機械製造部門に参加する企業が、新世代のロシア製砕氷船用原子炉を製造する「ベルトコンベア」となっている。
「RITM-200型原子炉は、私たちの新型原子力砕氷船でその威力を十分に発揮しており、北方航路の運行をより充実させています。同様の原子炉建設がすでにロシア連邦政府によって決定されており、5隻目、6隻目の連続型原子力砕氷船にも搭載される予定です。将来、これらの原子炉は、チュコトカ自治管区のバイムスカヤ鉱床やサハ共和国の陸上小型原発にエネルギーを供給する浮体式原子力発電所の 「心臓部 」になると思います」と、ロスアトムのアレクセイ・リハチョフ総裁は述べた。
「RITM-200は、世界で最も近代的で生産性の高い船舶用原子炉プラントです。このプラント建設に機械製造部門に入る企業が数社携わりました。その結果、砕氷船の速度と砕氷能力が向上しました。貨物輸送量が増加する状況にあって、それは船舶にとって重要な特性なんです。機械製造部門のイーゴリ・コトフ部長は、「ここで私たちが得たレファレンス(情報、経験)は、ロシア北極圏の開発に関連する他の課題にも役に立つでしょう」と語った。

参考情報
OKBMアフリカントフ社は、RITM-200原子炉プラントの設計者であり、完全なサプライヤーであり、内部部品の製造者である。原子炉容器の製造と制御装置の組み立ては、ジオ・ポドルスク社で行われている。
万能型原子力砕氷船用発電所は、それぞれが175MWの容量を持つ2基のRITM-200原子炉で構成されている。チュコトカ砕氷船用の2基のRITM-200原子炉のうち、最初の1基はすでに10月末に造船所に引き渡された。
同社は2012年以来、原子力砕氷船「アルクティカ」、「シビル」、「ウラル」、「ヤクチア」、「チュコトカ」向けに合計10基の原子炉を製造してきた。最初の3隻はすでに試運転を完了しており、北極圏の西部地域で船舶のキャラバンを誘導する義務を順調に果たしている。
現在、RITM型の原子炉の多様な可能性を見直すプロジェクトが進んでおり、以降は、砕氷船用の発電所としてだけでなく、陸上や水上での小型原子力発電所の運転にも利用されることになる。
60MWのチュコトカ砕氷船は、プロジェクト22220の4隻目の連続万能原子力砕氷船で、ロスアトムの発注によりサンクトペテルブルクのバルチック造船所で建設されている。2020年12月に起工し、2026年に就航する予定である。この原子力船は、北極圏の西部、バレンツ海、ペチョラ海、カラ海、エニセイ河口やオブ湾の浅瀬で就航することになる。
ロシア国営原子力企業ロスアトムの機械工学部門は、生産量・売上高ともにロシア国内で最大手の電力エンジニアリング企業である。ロシア設計の建設中の原子力発電所は、その敷地内の施設や設備内に据えられる機材の全てがこのサプライヤーによるもので、同社はLNGプロジェクト用設備の製造や、電力産業、石油・ガス複合体、その他の産業向けの統合ソリューションの開発・供給をも行っている。
最も重要な輸送回廊のひとつとしての北方航路の開発は、国の戦略的優先事項に含まれている。ロシア連邦が北極圏の総合開発分野での課題を解決するには、北極海航路の交通量を増加させることが最も肝要である。定期的な貨物輸送、原子力砕氷船の増設、関連インフラの近代化によってこの回廊の発展は確保されるだろう。