2011年の福島第一原発事故以降、大部分の原発の稼働を中断した日本で、「脱石炭社会」実現のため小型原子炉技術の開発が本格化している。特に、トラックに積んで運搬できるくらいに小さな「超小型原子炉」を、早ければ2030年代に商用化できるという報道も登場した。

日本経済新聞は18日、「三菱重工業が超小型原子炉を、早ければ2030年代に商用化し、災害が発生した地域や外界から隔絶された地域などで電源として活用する計画」と報じた。「マイクロ炉」と名付けられたこの超小型原子炉は最大発電容量が500キロワットで、100万キロワット級が主力の現在の原発に比べ2000分の1の水準にすぎない。世界各国で既存の原発の代案として開発が進んでいる小型モジュール原子炉(SMR30万キロワット以下)と比較しても「ミニサイズ」だ。原子炉と発電設備を全て合わせても高さ3メートル、長さ4メートル程度の大きさで、重さも40トンを超えず、トラックコンテナに積み込めるとの説明だ。

従来の大型原発に比べ、住宅地に近い場所で運用しなければならないことから、安全性の問題も大きく改善させる方針だ。カプセル型の容器に炉心や冷却材など全ての機器を収め、密閉性を高める。燃料として高濃縮ウランを25年間使い、燃料が尽きた原子炉をまるごと回収するという方式で、核燃料の交換や整備に伴う費用や危険性を抑えるという構想だ。超小型原子炉らしく炉心(原子炉内で核分裂の連鎖反応が起きている部分)がコンパクトで、その分危険性が小さいという評価も出ている。さらに三菱重工業は今後、宇宙空間で使用する電源として超小型原子炉を活用する方針だ。

日本政府は脱炭素および親環境プロジェクトの一環として小型原子炉技術の開発に対し支援を拡大している。今回の超小型原子炉開発も、経済産業省の「原子力イノベーションの実現に向けた研究開発事業(2019年)」の一部として推進された。日本は2020年末に「2050年脱石炭社会実現」を目標として宣言し、2030年までに次世代小型原子炉を実用化するという構想を表明した。今年の初めには国立研究開発法人の日本原子力研究開発機構と三菱重工業が、米国政府とビルゲイツ元マイクロソフト会長が手を組んで進めている次世代高速炉開発事業への参加を決めた。