セルゲイ・デミン ロスアトム東南アジア 日本支店代表

新型コロナウィルスによるお案でミック以前の15~20年よりもこの2年の方が世界は変わっている。原始的な消費の時代が変わり、創造の時代が始まる。持続可能な開発は、あらゆるレベルの生産の基盤になりつつある。エネルギー分野も例外でない。

私たちは、エネルギー生産をできるだけ環境に配慮したものにしようと努めている。その点から、いま、多くの人たちによって万能薬として供給している、太陽光発電や風力発電など「グリーンエネルギー」という選択肢を批判的に見ることは非常に重要である。

例えば、非常に「グリーン」なソーラーパネルは、有害な半導体の製造工程を経て作られている。パネルは、比較的効率の低い結晶シリコン製だ。比較的効率の高いパネルは、ガリウムとヒ素の化合物で有害なガリウムヒ素をベースに作られている。

使用済みソーラーパネルの処理の際にも、パネルに大きな炭素と化学物質の足跡が残っていることは、結論付けられている。そのうち、大量サイクルの問題が人類の関心ごとになるだろう。

電力は安定的に供給することが不可欠である。時間帯に左右されるソーラーパネルは、信頼性に欠けることがある。この意味では、風力発電も同じように信頼性が低い。このようなソースが広く使われることはユートピア的な発想と言わざるを得ない。

可変エネルギーを完全になくせとは言わない。しかし、われわれは原子力発電をもう一度見直す必要があると確信している。

原子力発電は、低炭素で信頼性の高い唯一の基礎電源である。天候に左右されず、24時間体制で送電網に接続されている。原子力発電所の敷地は、同規模の太陽光発電所よりもはるかに小さな面積を占める。

原子力発電を続けることは、今後、何年にもわたる予測可能な電力価格とエネルギー自立を意味する。

原子力、放射線、環境の安全確保を含め、使用済み核燃料や放射性廃棄物を取り扱う技術を、ロスアトムを含む世界有数の企業は数多く持っている。

一方では持続可能性への関心が高まり、他方ではエネルギー消費の増加が予想されることから、エネルギー消費の増加が予想されることから、エネルギー源である原子力への需要が高まることになる。このことの理解は広まっており、脱原発支持派が2019年の60%から36%に低下しているドイツの世論調査が非常に示唆的である。

再生可能エネルギーだけで持続可能なエネルギーシステムを持つことは不可能であることを認識し、21世紀『太陽の都』を建設するという約束を妄信することをやめるべきだと思っている。

原子力発電所を閉鎖しても、自然エネルギーが増えるわけではなく、炭化水素が増えることを認識しなければならない。

*トマソ・カンパネラによる哲学的作品で古典的なユートピアの一つ

セルゲイ・デミン 1990年モスクワ国際関係大学卒、ノーヴォスチ通信社入社。石油・天然ガス会社、大手不動産会社幹部を経て、2015年からロスアトム・インターナショナル・ネットワーク社東南アジア地域副社長。

Source: Energy Forum