ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社の傘下にあるロスアトム・オーバーシズ社が、サハ共和国最大の採金企業セリグダル社と、ウスチ=ヤナ地区およびヴェルホヤンスク地区に位置する「キュチュス」金鉱床開発のため、小出力原子力発電所の電力供給合意書を交わすことに合意した。

 セリグダル社は、ロシア最大手の採金企業で45年の沿革がある。この会社は、主として金と錫を採掘し、金埋蔵量でロシアのトップファイブ企業、錫埋蔵量では世界のトップファイブ企業に入っている。

 電力供給は2028630日より開始し、供給期間は40年間を予定している。供給契約は、2025930日までに交わされる予定だ。

 この埋蔵量175トンのロシア最大手金鉱床一つの開発のために、原子力によって発電される35メガワット以上の電力が使われる。この陸上設置式小型モジュール炉(SMR)「RITM-200N」の建設は、ロシア初となるが、サハ共和国では、熱出力17.5kW19kWの「RITM-200」が原子力砕氷船で使われてきた。

 サハ共和国ウスチ=ヤナ地区のウスチ=クイガ村落における、原子力発電所の建設・操業によって、キュチュス金鉱床開発に対する安定的なクリーンエネルギーの供給が確保される。

 2021年度の金採掘実績は7.2トン、錫コンセントレート採掘実績は2,900トンだった。セリグダル社は、サハ共和国以外にオレンブルグ州、アルタイ地方、ブリャート共和国、ハバロフスク地方とチュコトカで活動している。