ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は731日、エジプトから2015年に請け負った同国初のエルダバ原子力発電所(120kW級ロシア型PWRVVER-1200×4基)の建設に向けて、機器の製造を開始すると発表した。

エジプトのM.シャーキル電気・再生可能エネルギー相と同国の関係機関代表のほか、ロスアトム社やロシア連邦環境・技術・原子力監督庁(ROSTECHNADZOR)の幹部など、同プロジェクトに関係する一行が同月28日、ロシア南西部サマラ州のシズラニ市にある最大手の重機械製造企業、チャジマシ社(JSC TYAZHMASH)を訪問。エルダバ12号機用にコア・キャッチャー機器の製造を開始する契約書に署名したもの。

これに先立つ630日、エジプトで原子力発電所の導入計画を担当する原子力発電庁(NPPA)は最初の2基の建設許可をエジプト原子力規制・放射線当局(ENRRA)に申請している。4基すべての「サイト許可」については、NPPAがすでに2019年に取得済みである。ロスアトム社は同発電所の建設スケジュールを明らかにしていないが、NPPAが「発電所全体のスケジュールとして13年間を予定している」と述べたことが伝えられている。

ロスアトム社とチャジマシ社は長年にわたって協力関係にあり、チャジマシ社が関与する原子力発電所の建設計画はロシア国内のみならず、世界各国に及んでいる。これに今回のエジプト案件が加わり、同社が原子力発電所関係で受注した契約は全体の約3割に上昇。同社のA.トリホノフ社長は「高品質の原子力機器をタイムリーに供給する」との方針を表明したほか、「エジプトの発電所契約のみならず、ロスアトム社との全般的な協力枠組みの中で、今後も新たな契約を獲得していきたい」との抱負を述べた。

今回の訪問団には、NPPAA.エル・ワキル長官やENRRAS.アタラー長官も含まれており、チャジマシ社では主要な製造工場を訪れている。中国やインド、トルコ向けの様々な原子力発電所用機器の製造状況を視察したほか、バングラデシュのルプール原子力発電所用機器を搬出する輸送ゲートもチェック。エル・ワキル長官は、「ロシアの製造工場で近代的な技術を数多く確認するのが目的だった」と表明。その上で、「ロシアとエジプト双方がこの契約の義務事項をすべて履行し、すべての機器が予定通りに製造・納入されると確信している」と述べた。

同訪問団はこのほか、ロスアトム社のエンジニアリング部門のアトムエネルゴマシ社に所属するAEMテクノロジー社を視察。同社のボルゴドンスク支部ではエルダバ原子力発電所の主要機器が製造される予定であり、訪問団はインドや中国の原子力発電所向けに様々な製造段階にある原子炉や蒸気発生器、その他の機器の様子を確認した。

(参照資料:ロスアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)