梶山弘志経済産業相が朝日新聞の単独インタビューに応じ、今後10年程度は原発の新増設や建て替えは進められないとの考えを示した。

経産省が進めている国のエネルギー基本計画の改定では、原発の新増設や建て替えにどう言及するかが焦点の一つだが、記述を見送る可能性がある。

基本計画は2011年の東京電力福島第一原発事故後に2回改定されたが、政府は世論を意識し、原発の新増設や建て替えの記述を見送り続けてきた。梶山氏はインタビューで、福島での事故以降の原発をめぐる状況について、「信頼回復できていないのが現状だ」と指摘。そのうえで、「これができないで、新規(建設)やリプレース(建て替え)ができるかということだ。次のことが言える段階にない」と述べた。新増設や建て替えより信頼回復を優先する期間については、「まず10年というのが私の思いだ」と語った。

一方で、原発自体は「まだ必要なエネルギーだ」とし、既存の原発については「最大限使っていく」と明言。いまある36基(建設中の3基も含む)の再稼働を後押ししていく考えを改めて示した。「この10年間でどれだけ動かせるかが次(新増設や建て替え)につながる。50年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量の実質ゼロ)にもつながる」とも述べた。再稼働が進めば、信頼が回復したとみて、新増設などを検討することもありそうだ。