原子力白書を決定、原子力委「原発は長期的に必要」
国の原子力委員会は5日、原子力開発の現状をまとめた2017年度版の原子力白書を公表した。国や電力会社は東京電力福島第1原発事故で国民が抱いた不信や不安を減らす取り組みを進めるとともに、二酸化炭素(CO2)の排出が少ない発電源として、電力の規制緩和が進む中で原発を維持する対策が必要だなどと訴えた。6日の閣議で報告する。
白書では、国民が原子力に抱いている不信や不安に対して「双方向の対話や広聴を強化する必要がある」と指摘した。併せて、対話を進めるために、科学的に正確な情報を提供する必要性を強調した。
日本のエネルギー政策における原子力発電の位置付けについては「長期安定的な原子力利用の確保が、温暖化ガス削減や安定供給のために必要」と述べている。
ただ、原発事故を経験した日本では再稼働が低調な現状がある。原発の建設には莫大な初期投資がかかる上に政策変更のリスクなどもあり、「事業の予見性が低いと判断される可能性がある」と分析。原子力利用を続けるためには政策的な措置が必要だと提言している。
原子力白書は11年3月の東京電力福島第1原子力発電所事故を受けて発行が見送られていたが、昨年、7年ぶりに公表を再開した。