ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は519日、中国核工業集団公司(CNNC)から建設工事を請け負った江蘇省の田湾原子力発電所78号機(各120kWのロシア型PWRVVER-1200)と、遼寧省の徐大堡原子力発電所34号機(各VVER-1200)について、起工式を執り行ったと発表した。

この起工式には、ロシアのV.プーチン大統領と中国の習近平国家主席がテレビ会議を通じて参加。ロシア大統領府の発表によると、両首脳はともに田湾7号機と徐大堡3号機における最初のコンクリート打設作業を見守ったとされているが、両炉で本格的なコンクリート打設が正式に行われるのは、もう少し後になると見られている。

田湾発電所では現在、100kWVVER14号機がすでに営業運転中。ロスアトム社のA.リハチョフ総裁は、これらの原子炉はこれまでに2,700kWhを発電しており、中国のエネルギー供給保証に大きく貢献していると述べた。一方、56号機については、CNNCが仏国のPWR技術をベースに開発した第3世代の100kWPWRACP1000」を採用。5号機が20209月に営業運転を開始したほか、6号機も今月11日に初めて送電網に接続された。

後続の田湾78号機、および新規サイトである徐大堡発電所(※12号機は未着工)の34号機については、事業者のCNNCとロスアトム社が20186月、第3世代+(プラス)の120kWVVERを採用して建設することで合意し、4基分の枠組み契約を締結している。

両者はこのうち、田湾78号機の建設計画について一括請負契約を20193月に交わしており、ロスアトム社はこの契約に基づき、同年7月から両炉の長納期品の製造を開始。2026年~2027年にこれらの起動を目指すとしている。両者はまた、徐大堡34号機建設計画についても20196月に一括請負契約を締結。田湾78号機の一括請負契約と同じく原子炉系統設備と主要機器、および原子燃料を供給する方針で、2027年~2028年に起動する予定である。

ロスアトム社によれば、第3世代の120kWVVERはそれまでのVVERと比較して出力を20%増強しており、運転に必要な人員の数を3040%削減できる。運転期間もこれまでの倍の60年に延びており、さらに20年間延長することも可能である。このようなVVERはすでに、ロシアとベラルーシで合計5基が運転中のほか、フィンランドやハンガリー、バングラデシュ、トルコなどの12か国で、35基の建設計画が様々な段階に進展していると強調した。

なお、徐大堡発電所では、2016年に12号機の土木契約が結ばれた際、採用設計は100kW級のウエスチングハウス社製「AP1000」とされていた。両炉はその後、同設計をベースとする中国型「AP1000」の標準設計「CAP1000」になると判明したものの、今のところ着工に至っていない。

(参照資料:ロスアトム社(英語)とロシア大統領府(ロシア語)、CNNC(中国語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA519日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)