北極圏の開発を進めるロシアで、最新型の原子力砕氷船が新たに完成し、アメリカや中国も関心を寄せる北極圏開発で主導権を握りたいねらいがあると見られますロシア第2の都市サンクトペテルブルクの造船所で完成した原子力砕氷船「アルクティカ」は全長173メートル、幅34メートルで、動力源として小型の原子炉2基を搭載し、最大厚さ3メートルの氷を割りながら、航行することができます。世界で唯一、原子力砕氷船を運用するロシアの国営企業「アトムフロート」が日本円で500億円以上をかけて建造したもので、22日、サンクトペテルブルクから原子力砕氷船の運用拠点となっている北極圏の町ムルマンスクに向けて出航しました。地球温暖化の影響で北極海の氷が薄くなり、航行しやすくなったことなどからロシアは、北極圏のエネルギー資源の開発や北極海航路の利用拡大を国家目標として掲げ、新世代の原子力砕氷船として「アルクティカ」の建造を進めてきました。北極圏の開発をめぐっては、アメリカや中国、それにインドも強い関心を示していて、ロシアとしては高性能の原子力砕氷船を運用することで、今後の権益争いの主導権を握りたいねらいがあると見られます。