トルコ初の原子力発電設備となるアックユ発電所の建設を請け負っているロシアの原子力総合企業ロスアトム社は713日、1号機で原子炉容器(RV)の水圧試験が無事に完了したと発表した。

同社のエンジニアリング部門アトムエネルゴマシ社の一部であるAEMテクノロジー社のボルゴドンスク支部が実施したもので、20184月に地中海沿岸のメルシン地区で着工した同炉は、2023年の運転開始に向けて作業が着実に進展中である。

アックユ原子力発電所建設プロジェクトは20105月にトルコとロシアが結んだ政府間協力協定に基づいて進められており、第3世代+(プラス)の120kW級ロシア型PWRVVER)を4基建設する。総工費の約200億ドルは当面ロシア側が全額負担しており、発電所完成後にトルコ電力卸売会社(TETAS)がロスアトム社の設置した現地の事業会社(ANPP)から、12.35セント/kWhの固定価格で15年間電力を購入し返済する予定である。

AEMテクノロジー社によると、RVなど1号機に使用する機器の製造プロセスは最終段階に到達。今年2月にRVで上下2つの容器胴を最終溶接する作業を終了したほか、6月末には2年間を費やした蒸気発生器(SG4台の製造・組立・溶接作業も完了した。また、これと同じ頃に2号機用のコンクリート製ベースマットが完成、同炉の本格着工許可は20194月に規制当局が発給済みである。このほか、同発電所をトルコの送電グリッドと接続する契約も、同年12月にANPPがトルコ国営送電会社(TEIAS)と締結している。

水圧試験では、系統の構成や流量等を可能な限りプラントの運転状態を模擬して行われる。アックユ1号機の試験はAEMテクノロジー社の専門家が特別な技術の下で、RVの通常運転時の圧力より最大1.4倍高圧(24.5 MPa)で実施。重さ334トンのRVの母材や溶接部の強度を確認するなど、同プラントで60年間運転を継続する準備は整ったとしている。

(参照資料:AEMテクノロジー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNA714日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)